法律系の本を読むと、権利能力なき社団という言葉を目にすることがあります。
最初にこの言葉を見た時は、さっぱりイメージがつかない方も少なくありませんが、法律の勉強を進めていくと、何となく理解ができるようになります。
新聞などにも権利能力なき社団が載ることがあるので、ここでは権利能力なき社団について、ご説明します。
言葉を分解すると、「権利能力」が「ない」「社団」ということになりますが、そもそも権利能力という言葉が聞きなれないものだと思います。
権利能力とは、何らかの権利を持つ資格や、義務を背負うことができる資格を指します。
たとえば、皆様がコンビニでジュースを買うことができるのは、お金という物を所有する権利を持ち、ジュースの売買契約をする権利を持ち、買ったジュースを所有する権利があるからです。
他方、犬や猫は、どれだけ知能が高くとも、たとえ人の言葉を話すことができたとしても、コンビニでジュースを買うことはできません。
その理由は、法律上、犬や猫は何らかの権利を持ったり、義務を背負うことが認められていないからです(そのため、日本の法律では、ペットに財産を相続させるということはできません。)。
次に「社団」は、大雑把に言うと、何らかの目的を持って集まった人の集合体です。
つまり、権利能力なき社団は、「何らかの権利を持ったり、義務を背負う資格がないものの、何らかの目的を持って集まった人の集合体」ということになります。
言葉だけだと分かりにくいので、具体例で説明すると、たとえば大学のサークル、町内会、学問研究の団体などが考えられます。
大学のサークルは、何らかの権利を持つことができないため、たとえばサークル名義で自動車を買ったり、不動産を買うことはできません。
コンビニでジュースを買うことくらいはできても、あくまでそれはサークルのメンバーがコンビニと売買契約をしているだけということになります。
では、大学のサークルが、大学のサークル名義で物を買ったり、売ったりするには、どうすればいいのでしょうか。
その答えは、サークルを法人化してしまうことです。
法人は、法律上は人間と同じような扱いがされるため、権利や義務の主体になることができます。
たとえば、会社は法人なので、法人名義で不動産を所有したり、会社の備品を発注することができます。
権利能力なき社団を、法人化すると、様々なメリットがありますが、法人化の手続きは複雑です。
法律上の複雑な問題は、弁護士にご相談ください。