個人事業主の方は、サラリーマンやパートの方と異なり、事業用の借入がある方が多くいらっしゃいます。
事業用の借入は、金額が大きいため、利息を支払うだけでも負担が大きく、事業が上手くいかなくなれば、返済は難しくなってきてしまいます。
もし、返済が難しくなってしまった場合は、自己破産を検討しなければなりません。
しかし、個人事業主の方が自己破産を検討する際は、サラリーマンやパートの方の自己破産とは、やや異なる観点が必要になってきます。
まず、サラリーマンやパートの方が自己破産をしても、基本的にはお仕事に影響はありません(一部資格制限がつくものはあります)。
しかし、個人事業主の方は、自己破産によって、事業を廃業しなければならないケースがあります。
たとえば、特別な機械で、商品を生産している場合、自己破産をすればその機械は、原則として売却し、返済にあてなければなりません。
つまり、事業をする上で必要な機械がなくなってしまうので、少なくとも同じ事業の継続は難しくなってしまいます。
また、特別な機械を売却する必要はないケースであっても、事業の継続が困難なこともあります。
たとえば、取引先に未払のお金が300万円ある場合、自己破産をすると、返済義務がなくなります。
そうなれば、取引先は、300万円の債権を失うことになるため、仕事上での信頼を失い、今後は取引をしてくれなくなる可能性があります。
その取引先からしか入手できない商品などがある場合は、事業の継続が困難になります。
他方、他の取引先から商品を仕入れるといったことができるのであれば、事業の継続は可能な場合もあります。
また、個人事業主の方が自己破産をする場合、注意が必要なのは、管財人の存在です。
個人事業主の方は、事業用のお金と、生活費とがあまり分けて管理されていない場合が多いため、原則として管財人が選任され、管財人の監督下で手続きを進めることになります。
そのため、管財人に支払うお金を用意しなければなりません。
また、事業用に借りている物件がある場合、あらかじめ引渡しをしておかないと、管財人が代わりに引渡し業務を行うことになり、管財人に支払うお金が増えてしまいます。
よって、可能な限り、裁判所に書類を提出する前に、事業用に借りている物件は、引渡しをしておく必要があります。
このように、個人事業主の方が、自己破産を行う場合、サラリーマンの方やパートの方とは異なった観点から、手続きを進めていく必要があります。
個人事業主の方で、自己破産を検討されている方は、まず弁護士にご相談ください。