会社が倒産する際の経営者保証ガイドライン

 多くの中小企業は、事業用資金を借入れ、そのお金を活用して、事業を行います。

 借り入れの返済が順調であれば、何の問題もないのですが、経営状態が悪化し、返済ができなくなってしまうという事態もあります。

 もし、従業員のお給料や、取引先への支払いも含め、会社のキャッシュが尽きてしまった場合は、会社は倒産せざるを得なくなります。

 また、中小企業が借り入れをする際は、多くのケースで社長が連帯保証人になっています。

 そのようなケースでは、社長も同時に自己破産をせざるを得ないケースが多いでしょう。

 しかし、会社の倒産=社長の自己破産というのは、社長にとって酷だという意見も多かったため、救済措置として、経営者保証ガイドラインというものが設けられています。

 経営者保証ガイドラインを利用すれば、社長が一定の財産を手元に残した上で、保証債務を失くすことができる場合があります。

 では、自己破産と、経営者保証ガイドラインには、どのような違いがあるのでしょうか。

 まず、手続きの対象になる債権者に違いがあります。

 自己破産では、全債権者が手続きの対象ですが、経営者保証ガイドラインでは、原則として保証債権者である金融機関が対象です。

 次に、経営者ガイドラインを使うためには、主債務者が中小企業であること、主債務者と保証人が弁済に誠実であることといった条件がつきます。

 また、大きな違いとして、自己破産は債権者の同意なく利用できる制度ですが、経営者保証ガイドラインは、債権者の同意がなければ、保証債務の免除はされません。

 さらに、自己破産をすると、債務者はいわゆるブラックリストに登録されますが、経営者保証ガイドラインを利用すれば、ブラックリストに登録されません。

 このように、自己破産と経営者保証ガイドラインでは、手続きの方法や利用条件が異なりますが、どのようなケースで、どちらを選択するのかは、様々な事情を考慮して、決める必要があります。

 たとえば、社長が保証債務以外にも、個人で多額の借入をしている場合、その借入は経営者保証ガイドラインの対象外の債務であるため、経営者保証ガイドラインを利用しても、社長は個人の借入を返済しなければなりません。

 そのため、社長個人が多額の借入があり、その返済が難しい場合は、自己破産を選択すべきでしょう。

 また、保証債務の債権者が、保証債務の免除に応じない姿勢を示している場合も、自己破産を視野に入れる必要があります。

 他にも、色々な要素を考慮した上で、どのような手続きを取るべきかを検討する必要がありますので、経営者保証ガイドラインの利用を検討している方は、弁護士にご相談ください。