自己破産と資格制限

 お仕事の中には、一定の資格が必要なものがあります。

 たとえば、弁護士のお仕事は、弁護士の資格がなければできず、もし資格がない状態で弁護士の業務を行えば、罰せられる可能性があります。

 自己破産をした場合、突然お仕事がクビになるようなことはありませんが、一定の資格は、その使用を制限されてしまうことがあり、その結果、一定期間はお仕事ができなくなってしまうことがあります。

 たとえば、弁護士、司法書士、税理士、公認会計士、社会保険労務士、不動産鑑定士などの士業系の資格は、自己破産によって、資格の制限を受けます。

 また、警備員、生命保険募集人、損害保険代理店、宅地建物取引業者、建設業、貸銀賞なども、自己破産による資格制限があります。

 また、後見人のように、誰かの財産を管理する立場にある場合も、その資格が制限されます。

 そのため、たとえば警備員のお仕事をしている方が自己破産をする場合、警備員のお仕事を続けることが難しくなる場合があるため、場合によっては、自己破産以外の債務整理の方法を検討する場面もあります。

 しかし、ずっと警備員のお仕事ができなくなるわけではなく、自己破産の手続きが始まってから、債務の返済義務が免除される「免責決定」が出るまでの間のみ、資格が制限されるにとどまります。

 資格の制限を受けている間は、警備業務以外の業務に配置換えをしてもらったり、休職するなどといった対応が考えられますので、お勤め先の会社に相談することも検討が必要です。

 また、会社の取締役をしている方が自己破産をする場合、取締役の地位を失うことになっています。

 しかし、再度会社の取締役に就任することは制限されていないため、いったん取締役の地位を失ってから、株主総会で再度取締役に就任することも可能です。

 最後に、資格の制限ではありませんが、自己破産をすると、信用情報機関にその旨が登録されます。

 信用情報機関とは、全国銀行個人信用情報センター(KSC)、日本信用情報機構(JICC)、シー・アイ・シー(CIC)の3つがあり、自己破産をした場合、これらの機関に情報が登録され、その結果、新たに借り入れをしたり、クレジットカードを作成したりといったことが難しくなります。

 とはいえ、いつまでも新たな借り入れや、クレジットカードの作成ができないわけではなく、免責決定を受けてから5年から10年程経過すれば、信用情報機関のデータは消えることが多いです。

 信用情報機関のデータが消えれば、新たな借り入れや、クレジットカードの作成が可能になります。