限定承認の手続きをする際には,様々な注意点があります。
まず,限定承認は,相続人全員で行う必要があります。
たとえば,相続人が兄弟3名の場合,一人でも限定承認に反対した場合は,限定承認を行うことができません。
そのため,限定承認を行う場合は,相続人全員で話し合いが必要になります。
次に,相続人全員で限定承認を行うと決まった場合,裁判所に「限定承認をしたい」という申し出を行います。
この申し出は,ご家族が亡くなったのを知ってから3か月以内に行わないといけないため,急いで手続きをしなければなりません。
この期間を過ぎてしまうと,遺産を相続したことになり,借金を全て相続することになってしまうので,注意が必要です。
裁判所が限定承認を認めてくれた場合,原則として5日以内に,「亡くなった方にお金を貸していた方は申し出てください」という記事を,官報に掲載する必要があります。
また,家に借金の通知が来ている等の理由から,債権者がはっきりしている場合は,その債権者に通知を送る必要があります。
これに加え,限定承認を行った場合,亡くなった方の確定申告をしなければならず,確定申告の期限は,亡くなってから4か月以内です。
「限定承認をしてから4カ月」ではありませんので,注意が必要です。
その後は,不動産を競売にかけたり,借金を返済する等,破産手続きに近いような手続きを行います。
このように,限定承認は,とても慌ただしく,多くの手続きを一度に行う必要があり,とても負担が重い制度です。
限定承認をお考えの方は,なるべく早く,弁護士に相談することをお勧めします。