世の中には色々な会社がありますが、多くの会社が、何らかの借り入れをして、その資金で事業を行い、少しずつ借り入れの返済を行っています。
会社の経営が順調な間は、全く問題ないのですが、会社の経営が悪化し、借り入れの返済が難しくなる場合があります。
そうなった場合、会社の債務整理というものを検討しなければなりません。
では、会社の債務整理には、どのような種類があるのでしょうか。
まず、代表的なものとして、清算型の債務整理があります。
これは、いわゆる倒産という言葉から連想されるであろう手続きで、会社の事業をストップし、会社の財産を処分して、債権者に返済を行うという手続きです。
たとえば、会社が不動産や自動車を所有している場合、これらを売却して、債権者への返済にあてることになります。
次に、再建型の債務整理と呼ばれるものがあります。
再建型は、債務返済の負担を軽くすることで、会社を存続させることを目的とした手続きです。
会社を存続させるため、手続中も経営者は経営権を持ったまま、事業を継続していくことになります。
ただ、再建型は、手続きが非常に複雑で、裁判所に数百万円以上の費用を納めなければならないなど、ハードルが高い手続でもあります。
では、清算型の手続きと、再建型の手続きは、どちらを選択すべきでしょうか。
一般的には、再建型を目指すことができるのであれば、まずは再建型を検討すべきと言われることがあります。
その理由の1つは、連鎖倒産を防ぐというものです。
たとえば、A社が倒産してしまった場合、A社に1000万円を請求しようと思っていた取引先のB社は、その1000万円を回収できないということになります。
B社は、その1000万円で、新しい仕入れをして、お仕事をしようと思っていたのに、その1000万円が入ってこないことで、お仕事ができなくなりB社も倒産するという可能性があります。
さらに、B社に1000万円請求しようと思っていたC社がいた場合・・・と考えていくと、1つの会社が倒産することで、連鎖的に関係する会社が倒産してしまうということがあり得ます。
そのため、まずは再建型の検討が必要です。
では、どのようなケースで、再建型を選択できるのでしょうか。
まず当然ながら、資金繰りが適切な状況であることが必須です。
たとえば、商品を仕入れたものの、その仕入れ代金を支払うお金がなかったり、従業員の給料さえ支払えないといった状況であれば、再建型を目指すのは厳しいでしょう。
次に、返済計画を立て、それを履行できる見込みが必要になります。
再建型は、破産と違って、債務が全て免除されるような手続きではありません。
そのため、返済計画を作成し、そのとおりに返済できる見込みが必要です。
では、資金繰りが厳しかったり、返済計画の履行が厳しい場合は、事業を辞めざるを得ないのかというと、必ずしもそうではありません。
たとえば、借り入れの返済さえなければ、事業の収支自体は黒字であるという場合、他社に事業譲渡を行うことで、その事業を存続させることができる場合もあります。
このように、会社の債務整理は、どの手続きを選択するかを、色々な要素から検討しなければなりません。
会社の債務整理について、ご検討されている方は、弁護士にご相談ください。