判断能力はあるものの,一部心配な部分があるため,サポートできる体制を作っておきたい。
補助制度は,そんな場合に利用されます。
たとえば,軽度の認知症にかかっているAさんという人物を例に考えてみましょう。
Aさんは,認知症があまり進んでいないため,記憶力や集中力はしっかりしています。
ただ,文章を読んで理解する力がやや衰えていたり,人の話を聞いて,理解に時間がかかることがあります。
そのためAさんは,内容を理解したわけではないのに,相手に気を使って,とりあえず「はい」とか「いいよ」といった,迎合的な発言をしてしまうことがあります。
そんなAさんの特徴を利用して,知人Bさんが色々な理屈をこねた上で,「お金を恵んで欲しい」と言ってくることがあり,Aさんはついつい「いいよ」と答えてしまうことが続いていました。
このようなケースでは,ついついお金をあげてしまうAさんを保護する必要があります。
そこで,補助人をAさんにつけ,Aさんがお金をあげるときは,事前に補助人の同意が必要としておきます。
こうすることで,Aさんがついお金をBさんにあげてしまっても,補助人は契約を取り消すことができます。
補助制度は,他の後見制度である成年後見や保佐と比べると,利用されることはあまり多くありません。
判断能力がまだまだしっかりしているという状態で,わざわざ裁判所で補助人をつけるという手続きをしようと思う人が少ないことが理由と思われます。
また,判断能力がしっかりしている状態であれば,財産の管理を子どもに任せるなどの方法で,大きなトラブルは回避することができます。
補助制度の利用を検討されている方は,任意後見契約や家族信託という制度も検討することをお勧めします。
どの制度を利用するのが最善かは,成年後見制度や家族信託に詳しい弁護士にご相談ください。