成年後見制度を利用しようとした場合,その旨を家庭裁判所に申し立てる必要があります。
では,誰であっても成年後見制度の申立てをできるのかというと,それは違います。
成年後見制度は,判断能力が低下した人を守るための制度であるため,判断能力が低下した人と近しい人のみが,申立てをすることができます。
具体的には,判断能力が低下した本人,配偶者,4親等内の親族などです(その他細かい例外はあります)。
4親等内の親族とは,判断能力が低下した人の両親,子,兄弟,伯父,叔母,従兄弟などが該当します。
次に,後見人(判断能力が低下した人をサポートする人)になる場合にも,一定の条件を満たす必要があります。
まず,未成年者は後見人になることができません。
次に,破産した人や行方不明の人も後見人になることはできません。
後見人は,判断能力が低下した人を守り,安心して暮らせるようにするための環境を整備する責務があるため,その責務を十分にまっとうできる人でないといけないためです。
裁判所の方針として,後見人は家族がなるべきとされていますが,法律上はそのような制限はなく,法律の専門家が後見人になることもよくあります。
成年後見制度の利用を検討されている方は,誰が申立てをするのか,誰が後見人になるのかといったことについて,事前に弁護士に相談して,今後のプランを考えることをお勧めします。