自己破産の手続きでは、同時廃止と管財の2つの類型があります。
まず、個人の方の自己破産手続きの場合、比較的簡単な案件であれば、同時廃止となり、複雑な案件の場合は、管財事件となります。
では、法人の自己破産を行う場合、同時廃止になることはあるのでしょうか。
まず、破産法の条文を見ると、法人の自己破産を行う場合であっても、同時廃止が禁止されているわけではありません。
そのため、たとえば従業員が1人もおらず、何年間も活動していないような法人であれば、同時廃止もあり得るように思います。
しかし、大阪地方裁判所での運用では、法人の自己破産について、同時廃止は認めないという運用をしています。
その理由は、色々とありますが、簡易な手続きである同時廃止では、十分な調査ができないという点があげられます。
つまり、法人は、営業している間は、一定額の財産を保有していたはずであり、それが、どのような経緯でなくなっていったのかを明らかにしなければならず、またその経緯次第では、自己破産を認めることが相当ではないという判断もあり得るのです。
たとえば、現時点で、法人の財産は、ほとんどなく、従業員もいないという状態であっても、調査をしてみると、2年前の時点では、預金が1000万円存在し、その1000万円が現金で払い戻され、行方がしれないということもあり得ます。
このようなケースであれば、その1000万円の行方を調査しなければなりません。
そのため、法人の自己破産については、簡易的な調査で終わる同時廃止ではなく、管財事件にすべきと裁判所は考えているようです。
法人の自己破産を行う場合は、弁護士に相談の上、管財事件になることを前提に、手続きを進める必要があります。