保釈が認められるケース

 身体拘束がされたままの裁判は、被告人にとって、精神的・身体的に負担がかかります。

 たとえば、仕事をしている方は、仕事を休まなければならず、学生であれば、学校を休まなければなりません。

 もし、保釈が認められれば、刑事裁判中であっても、仕事を続けたり、学校に通うことができますので、弁護士(弁護人)としては、保釈を認めてもらうことも、重要な業務になります。

 では、どのような場合に、保釈が認められるのでしょうか。

 まず、保釈には、権利保釈というものがあります。

 権利保釈は、原則として保釈が認められるものの、一定の事由に該当する場合には、保釈を認めないというものです。

 権利保釈で一番問題となるものが、刑事訴訟法89条4号で定められている「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」というものです。

 罪証とは、いわゆる証拠です。

 つまり、身柄を拘束しないと、犯罪の証拠を処分したり、隠したりしそうな場合は、保釈を認めないというものです。

 また、裁判では、証人の証言も重要ですので、ここでいう証拠には人も含まれます。

 つまり、被告人が、証人に圧力をかけて、証言を歪める恐れがある場合は、保釈を認めないということです。

 また、権利保釈の条件を満たしていないであっても、裁判所が保釈を認めることがあり、これを裁量保釈といいます。

 たとえば、重大な疾病などがあり、病院や自宅で療養をしなければ、症状が悪化し、刑事裁判を進めることができないようなケースでは、裁量保釈が認められることがあります。

 また、刑事裁判の間、ずっと身柄を拘束されていると、仕事を失い、家族が路頭に迷うことになるといった経済的な事情や、学生が長期間、学校を休むことで退学になってしまう可能性があるなどの事情も、裁量保釈で考慮される事情になります。