刑事事件の世界では、証拠の自然的関連性という言葉が、時々出てきます。
自然的関連性とは、ざっくり言うと、「その証拠で、ある事実の存否を推認できること」を指します。
つまり、刑事裁判で提出される証拠は、必ず、何らかの事実の存否を証明するために提出されるので、全然関係ない証拠を提出しても、「自然的関連性がない」ということになり、証拠として認められないということになります。
たとえば、Aさんが、覚せい剤使用の容疑で、逮捕されたとします。
この場合、Aさんが覚せい剤を使用した証拠として、「Aさんの尿から、覚せい剤の成分が検出された」という鑑定書が提出されたら、どうでしょうか。
このような鑑定書は、Aさんの覚せい剤を使用したことを推認させる証拠と言え、自然的関連性があるということになります。
他方、「Aさんの友人のBさんの尿から、覚せい剤の成分が検出された」という鑑定書はどうでしょうか。
この鑑定書があっても、Aさんが覚せい剤を使用したことを推認することは困難ですので、Aさんとの関係では、自然的関連性がないということになります(もちろん、Bさんの覚せい剤の自己使用という事実との関係では、自然的関連性ありということになります)。
弁護士(弁護人)は、検察官が提出しようとする証拠を見て、自然的関連性があるかないかを検討し、裁判所に対し、証拠の意見を出すことになります。